最新コラム・FAQ

2021年11月05日

離婚・不貞

子が私立学校に通っている場合の婚姻費用・養育費

Q 夫と別居することになりました。夫は、いわゆる婚姻費用の算定表に基づいて婚姻費用を支払うと言ってきています。しかし、夫との間の子ども2人については私の方で監護することになっているのですが、子どもたちはいずれも私立の小学校に通っており、学費が多くかかります。子どもたちの学費を考えると婚姻費用算定表から算出される婚姻費用では生活することができないのですが、どうしたらよいでしょうか。


A 私立学校に通うことについて、夫が承諾していた場合には、算定表を修正して婚姻費用を算定します。


【解説】

裁判所の公表する婚姻費用や養育費の算定表においては、子どもが公立学校に通っていることを前提に子どもの生活費等が算定されています。
そこで、子どもが私立の学校に通っている場合には、算定表から算定される婚姻費用や養育費では金額が低すぎるという問題が生じます。

夫の承諾のもと、私立の学校に通っていたのであれば、私立学校の費用と公立学校の費用は父母で共同すべきです。そこで、裁判例においては、私立学校に通っていることによって負担が増える分を婚姻費用や養育費に上乗せして請求することが認められています。
具体的には、算定表によって考慮されている学校教育費と、現実に私立学校にかかる学校教育費との差額を算定し、夫婦それぞれに負担を割り付けることになります。

夫の承諾があったかどうかは、明示的な承諾に限られず、黙示的な承諾でもかまいません。また、支払い義務者の収入、学歴、地位によっては、承諾があったとまでは認められなかったとしても一定の教育費を支払うべきという立論もありえます。

それでは、いかなる方法によって、父母それぞれの負担割合を定めるべきでしょうか。
この点については、考え方が分かれております。

一つ目の考え方は、父母それぞれの総収入又は基礎収入の割合で按分する方法によるべきとする考え方です(東京家審平成27年6月26日判時2274号100頁等)。
この考え方による場合、たとえば、妻が子を監護していて、私立学校と公立学校の教育費の差額が年額40万円で、妻の収入が100万円、夫が900万円だとすると、教育費の差額10万円のうち10分の9を夫が負担するべきであるということになります。そうすると、結局夫は、年間36万円算定表より多めに払うべきという結論になります。

他方で、父母の生活指数に応じて按分するべきという考え方もあります(大阪高決平成26年8月27日判時2267号第57頁等)。この場合、父母の生活指数は等しいわけですから、結局、教育費は父母で等分にて折半するということになります。先の例で言えば、夫は年間20万円算定表より多めに支払うべきという結論になります。


私立学校の教育費と公立学校の教育費の差額はけっこうな金額になりますので、私立学校に通っている子を監護される場合は、この論点は漏らさずに主張したいところです。

以上